2013年1月10日木曜日

熊本市中央区・大将軍・ラーメン

大将軍・ラーメン = 大将軍 =
  2013/1/10訪店
 「ラーメン」 600円

 価格の満足度:★★★★☆
 麺の満足度 :☆☆☆☆☆
 スープ満足度:★★★★☆
 具の満足度 :★★★★★
 総合    :★★★★★

大将軍・ラーメン   2013/1/25訪店
 「焼き豚ラーメン」 900円

 価格の満足度:★★★☆☆
 麺の満足度 :★★★★☆
 スープ満足度:★★★★★
 具の満足度 :★★★★★
 総合    :★★★★★

 先日訪問した行列店『呑龍』の裏手を流れる川沿いの気持ちのいい散歩道を産業道路から南下して、熊本大学医学部の南側まで足を伸ばすと、交差点近くに一軒のラーメン店を発見。居酒屋のような民芸風看板には『大将軍』と大書されています。交差点をそちらに渡ってお店に行ってみると幅の狭い扉が2つ並らび、左扉が大きな看板のすぐ右隣だったので、一瞬そちらが入り口かと思えば、暖簾は右扉にかかっていました。暖簾には「ちゃんぽん」「ラーメン」の文字が染め抜かれています。

大将軍・店舗正面 周囲は商店街というわけでもなく、主に民家やアパートなどが並んぶ道路沿いのアパート一階にテナントとして入っているのが『大将軍』。繁華街の有名店とは違って、こちらも細く長く愛され続けているお店のようです。右隣は「テナント募集」の看板が出されていました(2013年1月時点)。扉を開けると大変間口が狭く、しかも先客が一人入り口に一番近いカウンター席に陣取り、背後はトイレらしいスペースが張り出し、店に入るのにも苦労するほどで、二人すれ違うのがやっとくらいの幅の店内には、厨房対面カウンターが6席、背中合わせになる壁側のカウンター5席が設けられており、混雑時に席を詰めて使うのか予備椅子が2つ置かれていました。

 厨房対面のカウンター席上に貼られたメニューには、『ラーメン』の他に7種類のラーメン・バリエーションと『ちゃんぽん』があり、選択の幅は広いようですが、ここはまず『ラーメン』を注文。もともと車の通行もさほど多くない道路に面していることもありお店はとても静かな環境にあるのですが、“お約束”どおり流されている一番奥に置かれたTV音声は賑やかです。

大将軍・厨房 カウンター越しに厨房の様子を窺うと、年季が入った厨房のステンレス壁や什器類には磨き上げられた清潔感があり、整理整頓も隅々まで行き届き、オーナーの真摯な気持ちが窺えます。そうするうち、焼豚が何本も載ったトレイが2枚どこからか取り出され、厨房向こう側の調理台に置かれました。トレイ1枚に8本整然と並らぶ、同じ太さと長さにきちんと整形された焼豚を縛っているのは、糸というより縄。厨房に背を向ける反対のカウンター席上の本棚に並んだ『鬼平犯科帳』や『藤枝梅安』のコミック本も巻数昇順にキチッと並んで整頓されています。お店の隅々までオーナーの目が行き届く様には感服、実に几帳面で妥協を許さないオーナーとお見受けして、このことだけでも『大将軍』、大好きになりました。

大将軍・トレイに並んだ焼豚 さて、先客お一人は入店時にすでに食事中だったので、私が注文したラーメンの調理にはすぐ取り掛かったはずなのですが、「お待たせしました」と、にこやかな女性店員がお盆に載ったラーメンをカウンター越しに手渡してくれるまでには、注文から6~7分ほどが経過していました。ここに、私にとっては大きな落とし穴が・・・。

 それから、手渡される直前かの女性店員さん出来上がったラーメンを置き、私の正面、視線の先にちょうど見えるコショウの缶を取り上げた!思わず絶叫、「あ、コショウかけないで!すいませんっ!」 これをされては、豚骨スープの芳香も麺の香りも瞬時に台無し!店員さん、ビクッとしたようにこちらを振り向き手を止めてくれたので、どうにか事なきをえました。危ない危ない・・。

 出来上がった『ラーメン』には大きく厚い焼豚が2枚。当地では珍しく(沖縄では普通だけれど)豚肉の皮がついたまま調理されているようで、久しぶりの三枚肉風の焼豚は涙が出るほどうれしいものでした。スープは白い濁りが強くポタージュと呼んでもいいほどで、マー油があしらわれています。まずスープから・・・

 『!』 まろやかでコクがあって雑味がなく、見た目の濁りとは対極的な澄んだ味。後に残る感じもごく僅かでスッキリとしています。惜しいことには塩味がいくぶん強めで、少し塩分控えめの方がスープの味はより生きると思うのですが。その一点を除けば何と完成度の高いスープでしょう。塩分で★1つ減の★4つですが、気持ちは4.5という感じです。

大将軍・店内 さて麺です・・・。私の感覚では茹で過ぎです。もともと細めのストレート系で、長浜ラーメンの太さより少し太いくらいなのですが、もう完全に煮えて伸びてコシ抜け状態になりフニャフニャ、まるでカップ麺の柔らかさです。待つ間、麺を茹でる男性店員さんの仕事ぶりを見て気が気ではなかったのは、湯切りザルの中でボイルされている麺を何度も箸で持ち上げほぐしては、また湯に戻す、その麺の状態が遠目に見ても十分火が通っていて『あ、そんな茹でてほんとに大丈夫?早く出して』と思ったのに、さらに2分ほど茹で続けていることでした。しかもその麺の量が少ない。普通で大盛りクラスの『呑龍』の後だからではなく、ごく普通量を4回口へ運んだら、もう麺がほとんど残っていない・・・くらいの感じでした。こと麺に関しては、質・量ともに非常に不満足で★付かずの0個。

大将軍・お店の外観 『なんじゃ、この腰抜け麺・・・(-_-)』 少々穏やかならぬ心境になっていたその時、大逆転劇が起こりました。焼豚を口に運ぶと再び『!!』 トロッととろける食感は、周囲の皮がコラーゲン状態になっていることもあってさらに感覚倍加!しかもその至上の香りと味。こんなにおいしい焼豚・チャーシュー、これまでお目(口?)にかかったことがあったでしょうか。西辛島町電停前の『秀ちゃんラーメン』のチャーシューも良かったですが、さらにその上を行く味です。ちなみにお店の周囲には熊本市の食肉センターがあったり畜肉関係メーカーが多かったりで、もしやいい豚肉が入手しやすい環境・・・なのでしょうか?

 トッピングは、至上の焼豚2枚のほかに焼き海苔1枚と刻みキクラゲ、刻みネギ、ゆで卵片。お値段からは標準的なところでしょうが、焼豚の味わいが麺のゆで方の大きな欠点を補って余りありすぎるくらい、お店の雰囲気やオーナーの几帳面さには敬意を表して、麺★0でありながら総合★5つの満点としました。食べ終えた後、麺とスープ・焼豚のあまりのギャップに釈然としない気持ちを持ちつつ、また食べたいと思わせてくれるのは、やっぱりおいしいからに他なりません。これで麺にコシがあれば、熊本ラーメン最高峰たりうる可能性を十分秘めていると思います。

 ああ、それにしても疑問、疑問、疑問は麺。麺は柔らかいものがいいというポリシーならお店のスタイルで仕方ありませんが、硬麺も選べるようになっている方がうれしいです。次回もし足を運んだら、失礼な客と思われようが開口一番「バリ堅麺、コショウなし、塩控えめ!」と叫んで、チャーシュー麺を味わってみるとしましょうか。

2013/01/25 追記

 あのチャーシューをもう一度味わいたくて、『焼き豚ラーメン』を食べに行きました。もちろん硬麺でオーダーです。チャーシューは5枚入って、もう大満足です。皮付きのチャーシューについてお聞きしたところ、やはり業者にお願いして皮付きの豚肉にしてもらっているそうです。

 スープは実にまろやかで上品。前回よりさらに味わい深く感じたのは空腹だったせいでしょうか。お値段の900円はチャーシュー麺としては高めの部類かもしれませんが、絶品の厚切りチャーシューを5枚食べられる幸せを思えば、そんなに気にはなりませんでした。麺の茹で加減も今回はいい感じで、素晴らしい一品。総合は文句なしの満点★5つでした。

所在地住所:熊本市中央区南熊本1丁目3-6 塚本ビル1F
電話 番号:096-364-6773
営業 時間:11:00~16:00、17:30~20:00
店 休 日:日曜、祝日
サ イ ト:なし

0 件のコメント: